あなたが行方不明になってから、はたしてどのくらい時が経っただろうか?
ふと、カレンダーを見て、そんな疑問が頭によぎった。
「はぁ…」
溜息を一つ吐いた。その疑問を、あえていつもは考えないようにしていたのに、あなたがいない間の寂しさがいつものように僕を支配して離れなくなる。
きっとあなたはどこかで元気にやっているんだろうとは思ってはいるが、あなたがいないと僕はこんなに弱くなるんだなと、どこか他人事のように思った。
僕はあなたにされた告白の返事をまだ返せていないが、きっとあなたは僕が言わなくても答えを察しているんだろうとも思う。
やはり、そんなあなたがずるいと感じる。
だって、僕の心をこんなにも囚えているのに、あなたの心には僕がどのくらいいるのかすら悟らせてさえくれないのだから。
そんなひどいあなただからこそ、心底僕は惹かれてしまうんだろうなとも思った。
あぁ、本当にあなたのことになると僕は弱くなる。
あなたに関する記憶がどんどん消えてしまう気がするのに、時間だけは刻一刻と止まってくれないんだ。
どれだけあなたの声が、匂いが、感触が消えても、あなたが居ない間の、何処かつまらない、堂々巡りで空虚な日常を、僕は惰性で過ごしてしまうんだろう。
きっと今日も偽物のあなたは夢にでてきて、あの時のぼくにそれだけを告げて目の前から消えるんだろうと思った。
それなら、ぼくにも返事をさせてくれたっていいじゃないか。
そんな夢を見ても「ぼくも好きだよ」その一言、たった六文字の言葉なのに、それすらあなたに言えやしないけど。
いっそ素直に伝えられた方が、きっと、こんな気持ちにならずに済んだだろうに。
でも、たとえ言えたとしても、きっと僕の妄想からできたまがい物のあなたに返事をしたところで、本物のあなたに伝わりやしないんだろうな。
あなたが消えたあの時から、体だけが大きくなって時間に取り残された弱虫なぼくを見たら、きっと本物のあなたは「返事は?」とか言いながら、あの太陽のような笑顔で笑うだろう。
あなたの太陽のような笑みに何度救われたことかわからないけれど、あなたが居なければ、ぼくは僕にならなかっただろう。
ふと、空を見上げたら、あなたの帽子のような、きれいな赤色が見えた気がした。
レッド、と小さく誰にも聞こえないような大きさでそう呟いた。
また会えたらきちんと「僕も好きだよ」と言えますように、そう小さく願った。